本日、ニュージーランドの経済成長担当大臣ニコラ・ウィリス氏と移民大臣エリカ・スタンフォード氏は共同声明を発表し、2026年半ばから新たなSMC制度の2つの居住ルートを導入することを明らかにしました。
この新制度は、企業が重要な技能を持つ外国人労働者を引き付け、長期的な労働力不足を解消し、経済成長を支援することを目的としています。
1. 技能労働経験パスウェイ（Skilled Work Experience Pathway）
対象：技能職に従事する移民
- 職務経験要件：少なくとも5年の関連フルタイム就業経験。そのうち2年以上はニュージーランド国内で勤務。
- 収入要件：ニュージーランドでの就業期間中、賃金が中央値（Median Wage）の1.1倍以上であること。
- ポイント：ニュージーランドで長期的に安定して働いている移民にとって、予測可能で確実な居住ルートとなる。
2. 技工・技術者パスウェイ（Trades and Technician Pathway）
対象：電工・整備士・溶接工・建築関連技工・設備メンテナンスなどの熟練工
- 学歴・資格要件：ニュージーランドのレベル4以上の資格、または同等の国際資格を所持。
- 職務経験要件：資格取得後、少なくとも4年の専門的就業経験。そのうち18か月以上はニュージーランド国内。
- 収入要件：ニュージーランドでの就業期間中、中央値（Median Wage）以上の賃金を得ていること。
現在、ニュージーランドの中央値賃金（Median Wage）は時給33.56NZドル。
政府は、特定の職業については追加の資格条件を課す予定であり、詳細は2026年中旬の正式施行前に発表するとしています。
もし新制度が予定通り導入されれば、ニュージーランドで2年以上働き、安定した収入を得ている移民にとっては、居住権取得への迅速な道となります。
技術移民政策の緩和
上記2つの新パスウェイに加え、政府は現行の「技術移民ポイント制度（SMC）」についても以下の変更を発表しました。
- ニュージーランド国内大学資格のポイント増加→ 大卒留学生がより容易に居住権を取得可能に。→ 「国際教育成長計画」を支援し、留学生が卒業後もニュージーランドに留まりやすくなる。
- 就労経験要件の緩和→ 多くの移民に必要なニュージーランド国内での就業経験が、最大3年 → 最大2年に短縮。→ 国際競争力を高め、より多くの優秀な人材を引き寄せる狙い。
- 高額賃金要件の撤廃→ 居住申請時に「より高い賃金基準」を満たす必要がなくなる。→ 代わりに、必要な就労期間中は常に中央値賃金(Median Wage)以上を維持すれば良いと変更。
エリカ・スタンフォード移民大臣は、この措置について
「留学生がニュージーランドで学び、卒業後もそのまま残って社会に貢献することをさらに促すもの」とコメントしました。
この政策は、留学生にとっても有利に働き、「留学 → 技術移民 → 永住権」への道筋をより現実的なものにします。
野党・ニュージーランド第一党の反対姿勢
一方、本日ニュージーランド第一党（NZ First）は、政府の新しい技術移民政策に対し、連立協定にある「合意しても意見の相違を残す（agree to disagree）」条項を適用すると発表しました。
党首ウィンストン・ピーターズ氏は以下の懸念を表明しました。
- 新たに居住権を得た移民が最終的にオーストラリア移住への「踏み台」としてニュージーランドを利用する可能性がある。
- 実際、昨年オーストラリア市民権を申請したニュージーランド人の約半数はニュージーランド生まれではなかった。
まとめ
2026年半ばから施行予定の新制度は、
- 技能職での長期勤務者
- 技工・技術職で資格と経験を持つ人材
- ニュージーランド国内の大学・大学院を卒業した留学生
にとって、居住権取得への道を大きく広げるものです。
一方で、野党の一部からは「移民の定着性」に対する懸念も上がっており、今後の政局や制度詳細が注目されます。
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